ナヴォイ劇場(正式名称:アリシェル・ナヴォイ記念国立アカデミー大劇場)は、ウズベキスタンの首都タシケントの中心部にあるオペラ・バレエの殿堂です。設計はモスクワのレーニン廟も手がけた建築家アレクセイ・シチューセフで、1940〜1947年に建設され、1947年11月に詩人アリシェル・ナヴォイ生誕500年を記念して開場しました。第二次世界大戦後に旧ソ連へ抑留された日本人が建設に従事したことで日本人旅行者に広く知られ、1966年のタシケント大地震でも倒壊を免れた堅牢さでも名高い建物です。客席数は約1,400席を数えます。
歴史的背景
劇場はスターリン様式(スターリン・エンパイア様式)で設計され、旧ヴァスクレセンスキー(復活祭)バザールの跡地に建てられました。第二次世界大戦の終結後、1945年の対日参戦にともない、日本の軍人・民間人約60万人がソ連各地の労働収容所へ送られ、そのうち約2万5千人がウズベキスタンに抑留されました。彼らが従事した工事の一つがこのナヴォイ劇場で、1945〜1946年に数百人の日本人がその建設に携わりました。1996年、ウズベキスタンのカリモフ初代大統領は、日本人の貢献をたたえる記念プレートを劇場に設置しました。プレートには「1945〜1946年、極東から移送された数百名の日本国民がアリシェル・ナヴォイ劇場の建設に積極的に参加した」と記されています。
建築と特徴
- スターリン様式の重厚な外観:シチューセフによる対称的で堂々とした構成が、タシケントの中心部にランドマークとして映えます。
- 都市をテーマにした内部の各ホール:ホワイエや各ホールはタシケント、ブハラ、サマルカンド、ヒヴァ、フェルガナ、テルメズなどウズベキスタン各都市の意匠で装飾され、ウズベク建築の技が集約されています。
- 精緻なガンチ彫刻:熟練の職人による石膏彫刻(ガンチ)が内装を華やかに彩ります。
- 前面の噴水広場:劇場前の広場には噴水が配され、市民の憩いの場となっています。
- 耐震性:1966年のタシケント大地震で周囲の建物が倒壊するなか、この劇場は損壊を免れ、堅牢さが高く評価されています。
文化的意義
ナヴォイ劇場は、ウズベキスタンにおけるオペラ・バレエ芸術の中心であると同時に、日本とウズベキスタンの友好を象徴する建物としても特別な意味を持ちます。過酷な抑留下にありながら丁寧な仕事を残した日本人労働者への敬意は、記念プレートや、地震に耐えた建物の逸話として語り継がれ、両国交流の物語として日本人旅行者の関心を集めています。芸術の殿堂としての価値と、歴史の記憶をとどめる場所としての価値をあわせ持つ点に、この劇場の独自性があります。
観光と体験
劇場はタシケント中心部に位置し、市内観光の拠点からアクセスしやすい場所にあります。オペラやバレエの公演が上演される劇場であり、鑑賞にはチケットが必要です。チケットは劇場前のカッサ(窓口)や公式サイトで購入でき、公演は夕方に始まることが多いですが、演目・日程は時期によって変わります。内部の見学可否や見学ツアーの有無は公演スケジュールなどにより変動するため、訪問前に最新情報を確認するのが確実です。公演を鑑賞しなくても、外観と噴水広場、日本人建設の記念プレートを見学するだけでも、歴史に思いをはせる価値があります。
まとめ
ナヴォイ劇場は、タシケントを代表するオペラ・バレエ劇場であり、第二次大戦後に日本人抑留者が建設に携わった歴史で知られます。1966年の大地震にも耐えた堅牢な建物と、日ウズベク友好の物語は、日本人旅行者にとって特別な意味を持ちます。芸術と歴史の両面から楽しめる、タシケント観光の見どころです。



