メンドーサ・ワイン地域(Mendoza Wine Region)は、アルゼンチン西部、アンデス山脈の麓に広がる世界有数のワイン生産地です。アルゼンチンのワイン生産量の約3分の2を占め、特に赤ワインの代表格である「マルベック(Malbec)」の産地として知られ、フランスから伝わったこの品種をアルゼンチン独自のスタイルで再定義し、国のワイン文化の中心地となっています。
歴史的背景
メンドーサ市は1561年3月2日、スペイン人ペドロ・デル・カスティージョによって、当時のチリ総督ガルシア・ウルタド・デ・メンドーサに因み「メンドーサ・デル・ヌエボ・バジェ・デ・ラ・リオハ」として建設された。それ以前はウアルペ族やプエルチェ族が暮らす土地であった。1861年には5,000人以上の死者を出す大地震に見舞われたが、震災後の1863年に耐震性を考慮した広い通りと複数の広場を配する現在の街区が整備され、南米屈指のワイン都市として復興を遂げた。マルベックは19世紀半ば、フランス人農学者ミシェル・アイメ・プジェ(Michel Aimé Pouget)によってアルゼンチンに持ち込まれたとされる。1910年頃にはアルゼンチンのブドウ畑の約80%がフランス系品種(主にマルベック)で占められるまでになった。1885年にブエノスアイレスとメンドーサを結ぶ鉄道が開通したことで、それまで荷馬車に頼っていた長距離・高コストな輸送が解消され、メンドーサのブドウ栽培は飛躍的に発展した。19世紀から20世紀初頭にかけて、この地域(かつての「クージョ地方」)は世界第5位、ラテンアメリカ第1位のワイン産地へと成長した。
見どころと特徴
メンドーサ州は首都ブエノスアイレスから西へ約1000km、標高600〜1200mの高地に位置し、アンデス山脈の雪解け水を活用した灌漑システムが発達しています。乾燥地帯の大陸性気候で日照時間が長く、降水量は極めて少ない一方で昼夜の寒暖差が大きく、ワイン栽培に理想的な条件が揃っています。現在、メンドーサには約14万4000ヘクタール(約36万エーカー)のブドウ畑が広がり、アルゼンチン国内のマルベック栽培面積の約21%を占めています。
- ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo):「マルベックの発祥地」とされる標高約1000mのエリアで、濃厚で凝縮感がありながら滑らかなタンニンを持つワインを産する
- バジェ・デ・ウコ(Valle de Uco):標高1100〜1500mの高地で、フレッシュで酸味のあるワインが特徴。シャルドネやカベルネ・フランも注目される
- マイプ(Maipú):メンドーサ市街に最も近い、歴史あるワイナリーが点在するエリアで自転車ツアーが盛ん
観光と体験
多くのワイナリーではガイド付きツアーが行われ、畑の見学、醸造工程の説明、試飲がセットになっています。地元産のオリーブオイルやハム、チーズ、アルゼンチン名物の「アサード(炭火焼きステーキ)」とのペアリングも楽しめます。サイクリング・ツアー、乗馬体験、ハイキングや登山などのアクティビティも充実しています。毎年3月初旬には、ブドウの収穫を祝う「Vendimia(ベンディミア)」というワインフェスティバルが開催され、パレードや音楽、ダンス、ミス・ワインの選出などで街が賑わいます。メンドーサ市には空港があり、ブエノスアイレスからの直行便が毎日運航されています。
まとめ
メンドーサ・ワイン地域は、マルベックをはじめとする高品質なワインを味わいながら、アンデスの絶景に触れられる体験型観光地です。


