はじめに
ヒマラヤは、
歩くだけの山じゃない。
カトマンズで現地の旅行会社を営む、ラムさん。流暢な日本語を話し、日本からのお客さまを長年受け入れてきた方です。
ネパールと聞いて多くの方が思い浮かべるのは、何日もかけて歩く旅でしょう。その印象について、ラムさんに聞きました。
「トレッキングは、
ネパールの魅力の一部にすぎません」
これはよくある誤解で、詳しい旅行情報が十分に伝わっていないことが理由だと思います。ネパールは、日帰りハイキングから長距離トレッキングまで、ヒマラヤのトレイルで世界的に知られています。でも、楽しみ方は歩くことだけではありません。私自身、日帰りハイキングから長期間のヒマラヤトレッキング、登山遠征まで経験してきましたが、トレッキングはネパールの魅力の一部にすぎないと、自信を持ってお伝えできます。
歩く距離が少なくても、ネパールの魅力は十分に体験できます。カトマンズ盆地の7つの世界遺産を巡る。エベレストやアンナプルナ山群のパノラマを眺める。仏陀の生誕地ルンビニを訪ねる。南アジア有数の野生動物観察地、チトワン国立公園でジャングルサファリを楽しむ。
冒険、文化体験、心の充足、あるいはゆっくりとした休息。ネパールは、さまざまな旅のスタイルに応えてくれます。
ラムさんカトマンズの現地旅行会社
この特集で紹介するのは、そのラムさんが選んだ5つの行き先です。最後に、山のほかに薦めてくれたものも添えました。
01 / カリンチョウク
富士山より高いところに、
朝2時間で。
「長いトレッキングをしなくても、
雪と山と、信仰の場所が、短い日程でそろいます」
ラムさん
カリンチョウクは、カトマンズから北東へ約150km、ドラカ郡にある稜線です。
2日目は車で一日かけて、棚田と村を抜けながら、麓のクリ村(3,447m)まで上がります。
3日目の朝、暗いうちに起きます。村から日の出を見て、それから登りはじめる。道のりは約2時間、標高差にして400mほどです。着いた先にあるのが、カーリー女神を祀るバガワティ寺院。
この寺院が立っているのが、標高3,842m。
富士山の山頂より、66m高いところです。
振り返ると、正面にガウリシャンカール(7,134m)。その左右に、ランタン・ヒマールとジュガール・ヒマールの稜線が続きます。
ガウリシャンカールは、シヴァ神とその妃ガウリの名を持つ山です。女神を祀る寺から、神の名を持つ山を見る。ネパールでは、山と信仰がそのまま地続きになっています。
下りたらその日のうちにカトマンズへ戻り、翌日は市内の世界遺産を回ります。
クリ村から寺院の近くまで、ケーブルカーもあります(2018年開通・約6分)。※掲載プランの手配には含まれないため、利用される場合は現地でのお支払いになります。
12月から2月は、例年、空気が乾いて澄む時期です。雨季に洗われた大気が乾き、山の輪郭がはっきり出る。稜線だけでなく、麓のクリ村のあたりでも雪がよく降ります。日本の年末年始が、ちょうどこの時期にあたります。
02 / ゴレパニ・プーンヒル
1時間の登りで、
8,000mがふたつ。
ポカラから車で山あいへ5〜6時間。ゴレパニ(2,874m)という村に泊まります。翌朝、登るのは1時間ほど。着くのがプーンヒル、標高3,210m。
正面に、アンナプルナI峰(8,091m)と
ダウラギリI峰(8,167m)。
8,000mを超える山が、ふたつ並んで朝日に染まります。世界に14しかない8,000m峰のうちの、2つです。
帰りはポカラに戻り、サランコットの丘から、もう一度ヒマラヤの朝を見ます。
※ このプランは英語ガイドでのご案内です。日本語ガイドへの変更もできます(追加料金あり)。
3月から5月にかけて、ゴレパニ周辺の森はシャクナゲに染まります。現地の言葉でラリグラス、ネパールの国花です。
ゴレパニは標高2,874m。シャクナゲが多く咲く標高帯にあたり、例年4月が見頃。花とヒマラヤの眺めを一緒に楽しめる時期です。
03 / ティンジュレ・ダンダ
シャクナゲの都と、
世界第3位の山。
ネパールの東の端に近い、ティンジュレ・ダンダ(3,066m)。現地で「ネパールのシャクナゲの首都」と呼ばれている場所です。
カトマンズから飛行機で35分、そこから車で3時間。着くのはバサンタプルという町で、そこを拠点に、丘の森を歩きます。3月から5月、斜面がシャクナゲで埋まります。
東部ヒマラヤの展望地でもあり、
カンチェンジュンガ(8,586m)を望みます。
エベレスト、K2に次ぐ、世界で3番目に高い山です。観光客の少ない地域で、村の暮らしがそのまま残っています。
山々の眺望と、現地で「ラリグラス」と呼ばれるシャクナゲを一緒に楽しむなら、春が最適です。気温が上がるにつれて、咲く場所は低い標高から高い標高へと少しずつ移っていきます。
| 時期 | 標高の目安 | 開花の特徴 | 空の様子と山の見通し |
|---|---|---|---|
| 春の初め (3月) | 1,500〜2,500m | 標高の低い場所で、鮮やかな深紅の花が咲きはじめます。 | 晴れた空と、ひんやりと澄んだ空気が楽しめます。 |
| 最盛期 (4月) | 2,500〜3,200m | 総合的にもっともおすすめの時期です。ピンク、赤、白の花が森を彩ります。 | 日中は暖かく天候も安定し、山々の眺めを楽しめます。 |
| 春の終わり (5月) | 3,200m以上 | 高山に生育する背の低い品種が、紫、白、淡いピンクの花を咲かせます。 | 雨季が近づくにつれ、午後は霞や雲が出やすくなります。 |
ティンジュレ・ダンダは標高3,066m。最盛期の標高帯にちょうど入るので、例年4月が見頃です。
出典:現地の旅行会社(ラムさん)提供の情報を翻訳
04 / タサン村・ムクティナート
ダウラギリを正面に、
山の懐で眠る。
ポカラから車で5〜6時間、タサン村(2,520m)に泊まります。朝、正面にダウラギリI峰(8,167m)。世界で7番目に高い山です。
翌日は標高3,800mのムクティナートへ。ヒンドゥー教と仏教、両方の巡礼地になっている珍しい寺院です。
ここまで、歩く行程はほとんどありません。車で山の懐まで入っていきます。帰りはポカラの湖畔に寄り、サランコットの丘から山を見て、カトマンズへ戻ります。
雨季が明けて空が高くなる10月から11月が、山を望むのに向いた時期です。
※ ルプセ滝・カリガンダキ渓谷は、公開プランの日程に記載がないため本文に入れていません(確認後に追記)。
05 / エベレスト・ヘリコプター
朝に出て、
昼にはカトマンズに戻っている。
早朝、カトマンズの空港から貸切のヘリコプターで飛び立ちます。ルクラで給油して、エベレスト(約8,849m)、クンブ氷河、そしてエベレスト・ベースキャンプ(5,364m)の上空へ。
天候が許せば、カラパタール(5,545m)に着陸します。
足で立つ場所としては、この特集でいちばん高いところです。帰りに、ホテル・エベレスト・ビュー(3,880m)で朝食。2004年にギネスブックで、世界でもっとも高い場所にあるホテルとして紹介された一軒です。
ここまで4〜5時間。昼にはカトマンズに戻っています。
残りの日程は、ドゥリケル(1,550m)に一泊し、バクタプルの旧市街を歩いてから、ナガルコット(2,195m)へ。最終日の前に、カトマンズの世界遺産をまとめて回ります。
ラムさんが薦める、ナガルコットの宿
Kavya Himalayas
ナガルコットの森に建つ、客室がスイートとヴィラだけの一軒。2ベッドルームのヴィラは240㎡あります。
朝、テラスに出ると、正面にヒマラヤ。日中はヨガやアーユルヴェーダに時間を使い、夜は静けさのなかで眠る。
そんな滞在が、ネパールにあります。




ナガルコットの高台に立つ、ウェルネス・リトリートです。ヨガ・瞑想・アーユルヴェーダ・デトックスのプログラムとスパを備え、"HOLISTIC LONGEVITY"(心とからだを、長く健やかに)を掲げています。
山を見るための拠点ではなく、ここに泊まること自体が旅の目的になる。ラムさんがこの宿を挙げるのは、そういう一軒だからです。
写真提供:Kavya Himalayas5つの旅を一覧で
5つを、並べてみます。
| 行き先 | タイプ | 日数 | 参考料金 一人あたり(2名利用) | 展望地までの歩き | ガイド | 時期 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| カリンチョウク稜線 3,842m | スタンダード | 5日間 | ¥113,000 | 登り約2時間 | 日本語 | 12〜2月 |
| ゴレパニ・プーンヒル3,210m | スタンダード | 7日間 | ¥256,000 | 登り約1時間 | 英語 日本語は追加料金 | 3〜4月 |
| ティンジュレ・ダンダ3,066m | スタンダード | 7日間 | ¥267,000 | 森を散策 | 日本語 | 3〜5月 |
| タサン村・ムクティナート3,800m | ラグジュアリー | 7日間 | ¥366,000 | ほぼなし(車) | 日本語 | 10〜11月 |
| エベレスト・ヘリ着陸 5,545m | ラグジュアリー | 5日間 | ¥954,000 | なし(ヘリ) | 日本語 | 春・秋・冬 |
どれも本格的な登山を必要としません。日程も、いちばん短いもので5日間です。
※ 上の3つはスタンダード、下の2つはラグジュアリーです。宿のグレードが異なります。
料金は、プラン提案時の現地料金を為替レートで円に換算した参考価格です。希望の日程での料金は、現地の旅行会社にご確認ください。
番外編
山のほかに、
こんな過ごし方もあります。
ここまでは、山の話でした。ラムさんが薦めるものは、ほかにもあります。
つくる
ネパール料理を、料理学校で習う
実際に手を動かしながら、ネパールの文化に触れたい方におすすめです。体験の舞台は、プロの料理人を育てる料理学校。モモやチキンチリ、マサラカレーなど、現地で親しまれている料理の作り方を楽しく学べます。
レシピを持ち帰り、自宅でも旅先の味を再現できるのも魅力です。帰国後に料理を作るたび、ネパールで過ごした時間がよみがえる。そんな思い出を持ち帰れる文化体験です。
遊ぶ
実は、ゴルフもいい
ネパールのヒマラヤ地域で楽しむゴルフには、世界の一般的なコースとは異なる魅力があります。美しい自然や山の景色を眺めながら、穏やかにくつろげる時間になります。
「ゴカルナ・フォレスト・リゾート」はカトマンズ市内から約12〜13kmに位置するゴルフリゾート。Top 100 Golf Courses の地域ランキングでは、アジア61位・ネパール2位に挙げられています。
- 高地ならではの飛距離:山地の薄い空気は空気抵抗が小さく、海面に近い場所よりもボールが遠くまで飛びます。
- 野生動物と自然環境:古くから保護されてきた森の中にあるコースでは、シカやサル、野鳥などに出会うこともあります。


写真提供:Gokarna Forest Resort
また、ネパールには、大きな高低差や渓谷など、自然の地形を生かしたゴルフコースもあります。なかでも、ポカラの「ヒマラヤン・ゴルフコース」は、深い峡谷に沿って広がる唯一無二のレイアウトが魅力です。雄大な自然を感じながら、ネパールならではのゴルフをぜひお楽しみください。
よくある質問
ご相談の前に。
登山の経験がなくても行けますか?
この特集で紹介している5つは、いずれも本格的な登山を必要としません。いちばん歩くカリンチョウクで、麓のクリ村(3,447m)から標高差約400m・徒歩約2時間。プーンヒルは登り1時間ほどで、ヘリコプターは歩きません。
何日くらい必要ですか?
掲載しているプランは5日間から7日間です。日本からは成田発の直行便のほか、アジアの都市で乗り継ぐ便もあります。往復に必要な日数は利用する便によって変わるため、あわせて現地の旅行会社にご確認ください。
カリンチョウクとは、どんな場所ですか?
ネパール・ドラカ郡(バグマティ州)にある標高3,842mの稜線で、カーリー女神を祀るバガワティ寺院が立っています。ヒンドゥー教の巡礼地であり、ヒマラヤの展望地でもあります。カトマンズから北東へ約150kmです。
富士山より高いと聞きましたが、高山病が心配です。
カリンチョウクの寺院は3,842mで、富士山の山頂(3,776m)より66m高い位置にあります。カトマンズ(1,400m)から車で麓のクリ村(約3,450m)へ上がり、一泊して体を慣らしてから、翌朝ゆっくり寺院へ登ります。ガイドが歩くペースを合わせ、体調の変化に気を配りながら同行します。登りがつらい場合は、クリ村から寺院の近くまでケーブルカーで上がる方法もあります。
日本語のガイドはつきますか?
プランによって対応する言語が異なります。各プランの記載をご確認ください。英語ガイドのプラン(プーンヒル)も、追加料金で日本語ガイドに変更できます。日本語ガイドをご希望の場合は、ご相談の際にお知らせください。
ご相談
行き先はネパール、目的はヒマラヤ。
行きたい時期と日数が決まったら、
あとは現地の旅行会社に。
ここで紹介した5つは、現地の旅行会社が組んだ行程です。日程や体調に合わせて、どこで区切り、どこに泊まるかを相談できます。
Oooh では、ご希望の内容をお伺いしたうえで、ネパールで実際に手配を行う現地の担当者をチャットにご招待します。日本語でやり取りしながら、旅程を具体化していくことができます。
旅程の提案・手配と契約は、ご相談された現地の旅行会社との間で行われます。
パスポート、ビザ、旅行保険はお客様ご自身でご用意ください。




