カサ・プエブロ(Casapueblo)は、ウルグアイの著名な芸術家カルロス・パエス・ビラロ(Carlos Páez Vilaró)が、自身の住居兼アトリエとして築いた白い彫塑的建築物で、プンタ・デル・エステから西へ約13kmのプンタ・バジェーナ(Punta Ballena)に位置する。現在は住居に加え、美術館・ギャラリー・カフェテリア・ホテルを備えた複合施設として公開されており、ウルグアイを代表する観光名所の一つとなっている。地中海の島の集落のようにも見える純白の建築群は、ウルグアイの海岸沿いの景観の中でもひときわ目を引く存在である。
歴史的背景
建設は1958年、海岸で見つけた流木の板を使って作った小さな作業小屋「ラ・ピオネーラ(La Pionera、先駆者)」から始まった。ビラロはこの小屋を出発点に増改築を重ね、完成までに実に36年の年月を要したとされる。ビラロはウルグアイの抽象表現主義を代表する画家・彫刻家であり、この建物を自身の作品そのものとして、あらかじめ設計図を用意せず、職人的な手作業によって少しずつ増築していった。
建築と特徴
- 13層に及ぶテラスが重なる、曲線を基調とした彫塑的な外観。直線的な要素をほとんど持たない
- 白い漆喰の壁が特徴で、ギリシャ・サントリーニ島の建築を思わせるとも評されるが、ビラロ自身はウルグアイに生息する鳥「ホルネロ(hornero)」の巣をイメージの源泉として語っていた
- 設計図を用いずに増築を重ねた、迷路のような室内空間
- 庭園や壁面にはビラロ自身の彫刻・絵画作品が点在し、館内の随所にもオブジェとして配置されている
- 「家」と「アート」が一体化した建物そのものが最大の展示物であり、時間帯や天候によって自然光が室内の空間に異なる印象を与える
文化的意義
建物中央のドーム部分には美術館・アトリエが設けられ、詩人ニコラス・ギリェンやパブロ・ピカソ、ラファエル・スキル、ホセ・ゴメス=シクレの名を冠した4つの展示室、映写室などが備わり、ビラロの絵画・彫刻・モザイク作品が常設展示されている。1994年以降、日没直前にビラロ自身の声による詩の朗読とともに太陽を送る「太陽のセレモニー(Ceremonia del Sol)」が毎日行われており、カサ・プエブロを象徴する文化的儀式として今も継続されている。
観光と体験
プンタ・バジェーナの丘の上に建つカサ・プエブロのテラスからは、大西洋を一望する開放的な景色が広がる。特に夕暮れ時には、建物の白い曲線と沈む夕日が織りなす光景を求めて多くの観光客が訪れ、写真撮影の名所としても知られる。館内にはビラロの作品を紹介する小規模ホテルも併設され、宿泊しながら滞在することも可能である。プンタ・デル・エステの喧騒から少し離れた場所にあるため、日中は美術館とカフェテリアを見学し、日没の「太陽のセレモニー」に合わせて訪れる旅行者が多い。
まとめ
カサ・プエブロは、一人の芸術家が36年をかけて築き上げた住居兼美術館であり、ウルグアイの現代アートと自然が融合した唯一無二の建築物である。夕日と白い曲線の建築が生み出す景観は、訪れる者に強い印象を残す。プンタ・デル・エステを訪れる旅行者にとって、リゾートの喧騒から少し離れて芸術と自然の対話を体感できる、外せない立ち寄りスポットとなっている。