ゴロンゴーザ国立公園(Gorongosa National Park)は、モザンビーク中部のソファラ州に広がる壮大な自然保護区であり、アフリカでも最も生物多様性に富んだ国立公園の一つである。総面積約4,000平方キロメートルに及ぶこの公園は、サバンナ、森林、湿地、湖といった多様な生態系が共存し、数多くの野生動物が生息する「アフリカ最後の楽園」とも称されている。かつては内戦の影響で動物の数が激減したが、現在では保護活動が進み、かつての豊かな自然が復活しつつある。
歴史的背景
ゴロンゴーザは、ポルトガル植民地当局によって1921年に狩猟保護区として設定され、1960年には正式に国立公園に指定された。当時は約2,200頭のゾウ、200頭のライオン、14,000頭のアフリカバッファローが生息するとされ、1950〜60年代にはジョン・ウェインやグレゴリー・ペック、ジョーン・クロフォードといったハリウッドスターも訪れるアフリカ屈指のサファリ観光地として名を馳せた。しかし独立後の1970年代半ばから始まったモザンビーク内戦(政府軍フレリモと反政府勢力レナモの戦闘)で、ゴロンゴーザはレナモの拠点となり戦闘の最前線となった。約28年間続いた内戦は国全体で推定100万人の犠牲者を出し、公園内の野生動物の95%が密猟や戦闘により失われたとされる。2004年以降、アメリカの慈善家グレッグ・カー氏がモザンビーク政府と協力して大規模な保護プログラムを開始し、2008年には20年間の公園管理契約を締結(2018年に2043年まで延長)。カー氏はこれまでに個人資産から約1億ドルを投じ、動物の再導入やエコツーリズムの推進、地域コミュニティとの共同保全に取り組んでいる。
見どころと特徴
公園内にはライオン、ヒョウ、ゾウ、バッファロー、カバなどの大型哺乳類をはじめ、カモシカ、シマウマ、イボイノシシなどの草食動物も豊富である。
- 湿地や湖に生息するワニやカバ、400種以上の鳥類が見られるバードウォッチングの聖地
- ウレ湖(Lake Urema):雨季になると水が増し、動物たちの貴重な水場となる
- ゴロンゴーザ山(Mount Gorongosa):標高1,863メートル、固有種の動植物が多い山岳森林
- ゲームドライブ、ウォーキングサファリ、カヌーツアー、バードウォッチングなどのアクティビティ
観光と体験
観光のベストシーズンは乾季(5月〜10月)で、野生動物を観察しやすくなる。雨季(11月〜4月)は景色が緑豊かになるが、道がぬかるみ移動が難しくなることがある。アクセスは、首都マプトまたは沿岸都市ベイラから飛行機や車で移動でき、ベイラからは約200kmの距離で車で約3〜4時間ほどである。
まとめ
ゴロンゴーザ国立公園は、内戦により野生動物の95%を失いながらも、慈善家グレッグ・カー氏らの支援で見事に復活を遂げた自然遺産である。壮大なサバンナの野生動物、美しい山岳地帯、豊かな湿地や湖が織りなす多様な生態系は、動物好きや自然愛好者にとって訪れる価値のある特別な国立公園である。