セイシェル国立植物園(Seychelles National Botanical Gardens)は、セイシェル共和国の首都ヴィクトリア近郊のモン・フルーリ(Mont Fleuri)に位置する、セイシェル最古の国立公園であり、自然愛好者や観光客にとって必見のスポットです。1901年に設立され、セイシェルの豊かな植物相と生態系を体験できる場所として、多くの人々に親しまれています。
歴史と背景
セイシェル国立植物園は、モーリシャス出身の農業技師ポール・エヴェノール・リヴァルズ・デュポン(Paul Evenor Rivalz Dupont)によって1901年に設立されました。彼はセイシェルの農業局長として、農業の発展と植物の多様性の研究を目的としたこの施設を創設しました。設立当初は農業ステーションとしてスタートし、20世紀半ばには公園として整備され、現在のような美しい庭園へと発展しました。
植物と生態系の多様性
セイシェル国立植物園は、約6ヘクタールの敷地に、セイシェル固有の植物を中心に、世界中から集められた植物が展示されています。園内には約280種以上の植物が生育しており、特に注目すべきは以下の特徴的な植物たちです。
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ココ・ド・メール(Coco de Mer):世界最大の種子を持つヤシの一種で、セイシェルの象徴的な植物です。1956年にはエディンバラ公(エリザベス2世の夫)がこの植物の苗木を植樹しました。
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ワイツ・ガーデニア(Wright’s Gardenia):セイシェル固有の花で、2000年にはビートルズのメンバーであるジョージ・ハリスンがこの植物を植樹しました。
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アロカシア(Alocasia):高さ3メートルにも達する水生植物で、園内の池に生育しています。
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トラベラーズ・ツリー(Traveller’s Tree):マダガスカル原産の植物で、葉柄に最大2リットルの水を蓄えることができます。
また、園内にはスパイスや果物の木々も多く見られ、ナツメグ、バニラ、クローブなどの香りが漂います。これらの植物は、セイシェルの農業や文化に深く関わっており、訪れる人々にその歴史を感じさせてくれます。
動物たちとのふれあい
セイシェル国立植物園では、動物たちとのふれあいも楽しめます。特に有名なのは、アラダブラゾウガメ(Aldabra Giant Tortoise)で、園内の専用エリアで飼育されています。これらのガメは、セイシェルのアラダブラ環礁に生息する固有種で、長寿命で知られています。訪問者は、彼らに餌を与えたり、間近で観察したりすることができます。
さらに、園内の池にはテラピン(Terrapin)と呼ばれるカメも生息しており、静かな水辺でのんびりと過ごす姿を見ることができます。これらの動物たちは、園内の自然環境と調和しながら共生しています。
見どころと施設
セイシェル国立植物園には、訪れる人々を魅了する多くの見どころがあります。その中でも特に注目すべきは以下の施設です。
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オーキッドハウス(Orchid House):色とりどりの蘭の花が展示されており、特にセイシェル原産の蘭は貴重です。
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スパイスガーデン(Spice Garden):ナツメグ、クローブ、バニラなどのスパイス植物が栽培されており、香り高い空間が広がっています。
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フルーツガーデン(Fruit Garden):マンゴー、パパイヤ、バナナなど、トロピカルフルーツの木々が並び、色鮮やかな実を楽しむことができます。
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ティーガーデン(Tea Garden):セイシェル産の紅茶が栽培されており、茶葉の成長過程を学ぶことができます。
これらの施設は、セイシェルの農業や植物文化を深く理解するための貴重な場所となっています。
アクセスと基本情報
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住所:Mont Fleuri, Mahé, Seychelles
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営業時間:毎日 午前8時から午後4時30分まで
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入園料:外国人観光客は250ルピー
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連絡先:+248 4 67 05 37